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2002.2
ここ十数年のクルーズ産業の急速な発展は誰もが予想だにせぬものであった。しかし、今、産業を取り巻く周囲の状況は少しずつ変化しようとしている。ICCLは、将来も引き続き産業が順調な成長を続けることを願い、クルーズ客船において新たなガイドラインを設け、そして彼らがそれを監視するであろうことを明言した。今回、制定の対象となるガイドラインは、次の6つからなる。
1.セーフティ(安全的避難)
2.エンバイラメンタル・アワレネス(環境意識)
3.パッセンジャープロテクション(乗客保護)
4.パブリックヘルス〔衛生面)
5.セキュリティ(安全対策面)
6.メディカルファシリティ(医療設備)
インターナショナル・コンサール・オブ・クルーズライン(国際客船評議会、通称ICCL)は、会が設立されて今年で約20年となる。主なメンバーは、北アメリカをマーケットとする17からなる大手客船会社のほか、ビジネス上で関わる企業などの代表者で構成されており、ICCLによってまもなく制定される上のガイドラインは、今後、会のすべてのメンバーに対し強制力を持つこととなる。
ICCLの今までの主な役割というのは、各クルーズ会社、そしてそれに携わる業者との間でのビジネスが円滑に進むよう取りまとめる仲介役的存在であった。
一方、会はアメリカ議会においても、幾つもの政策決定に関与している。そんなことから今回のガイドライン制定は、アメリカ政府とインターナショナル・マリタイム・オーガニゼーション〔国際海上協会、通称IMO〕の後押しによって進められるものである。
制定の主な趣旨とは、マーケットの拡大に伴う、特にクルーズ船の大型化や、新たな航路の進出によって直面する種々の問題を解決することと、さらにクルーズ全体のイメージダウンも回避しようというものだ。
1999年度の統計を例に挙げると、一年間にアメリカの客船会社が得た収益は150億円(1兆8000億円)。
また港湾ターミナルの仕事に従事する人たち、周辺の飲食店、交通(バス、タクシーなど)、港までの航空機、その他もろもろで落とされる額は、540億ドル(約6兆5000億円)という数値がはじき出されている。
これら全体の収益を考えたとき、クルーズビジネスは今やアメリカ経済の主力産業のひとつとなろうとしているのであった。
ICCLのコミュニケーョンディレクター、ミス・モリー・マクファーソンによるとこの時期においてのガイドライン制定の必要性のひとつにメディアの存在を挙げた。
「この6~7年間あらゆるタイプの雑誌、新聞、TV番組がクルーズにスポットを当て、好感を持って頻繁に取り上げてくれるようになりました。
そして、今までに数多くの異なったテーマのレポートが紹介されましたが、ここ2~3年は、特に安全面や環境面などに比重が置かれるようになり、中には事実に反するレポートが紹介されるということもあったのです。」
彼女はあらゆる産業はメディアに対し敏感に反応するのだと指摘している。ところでガイドラインの基準となる点について例を挙げると、
(1)、セーフティー・・・例えばマーケットの拡大、テクノロジーの進歩に伴いクルーズ船が巨大化傾向にある中、緊急時に果たしてスムーズかつ安全に乗船客を何十メートルも眼下にある海上のボートに誘導できるのかといったことについて。
(2)エンバイラメンタル・アワレネス・・・環境基準の高いアラスカ、バルト海、スカンジナビアフィヨルドなどに、ここ数年人気が集まってきたことで、クルーズ船の通行に伴い排出される有害物質数値の規制を今まで以上に高くしていくといったことなど。
(3) パッセンジャープロテクョン・・・クルーズ業界はフェデラル・マリタイム・コミッション(連邦海上委員会、通称FMC)と協力し何らかの理由によって乗船できない顧客のため、契約に沿った払い戻しに応じるといったことなど(これは例えばクルーズ会社が倒産した場合など、非常事態を考えてのこと)
(4) パブリックヘルス・・・クルーズ業界では、すでに乗船客、クルーたちの健康に関する環境問題に対し特別なプログラムを確立しているが、今後、USデパートメント・オブ・アグリカルチャー(農林水産業のようなところ)の協力でより高い基準値を設けていくといったこと。
(5)セキュリティー・・・いくつかの政府機関とIMOの協力を得てクルーズ中より高い安全面での強化基準を設けるといったこと。
(6)メディカルファシリティ・・・乗船客、クルーたちにとって船内が安全で心地よい環境であるため、特に非常時において十分なものかどうか(設備、経験のあるスタッフが搭載しているかなど)といったこと。
とは言っても「例えば(セフティー)一つとっても業界はここ何十年もの間(タイタニック以降)、悲劇的な海上事故に遭難していないため(それだけ船旅が安全ということ)、ガイドラインの制定の際具体的な基準をはたしてどこに設けるか、ということは依然検討中です。」 一連のICCLの提案は、成熟したクルーズ産業の中での必然である。
9月11日に起こった同時多発テロ事件によって、クルーズ産業は今大きく揺れている。アメリカ経済の象徴ともいえるクルーズ産業が以前通りの勢いを取り戻し、再び通常のクルーズが再開されることを願ってやまない。現在ICCLは彼等の活動の一環として、インターネット上に随時近況を紹介している。
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