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HURRICAN CENTER

荒れ狂う海、そして打ちつける激しい雨、大海に出ればいくら大型客船といえども弄ばれる木の葉のようになす術もない。そんな船旅ではせっかくのバケーションも台無しになると言うもの。

そんな状況に乗客を導かないため、快適な船旅を陰で支えているのがこの“ハリケーンセンター”であるのかもしれない。
気象学者でもあるローレンス氏に“ハリケーンセンター”の役割についての話をうかがった。
現在ハリケーンセンターには約40人からなる科学者と気象学者そして統計学者が勤務し、24時間体制でトロピカルストーム(ハリケーンも含めた熱帯性暴風雨)とサイクロン(熱帯性低気圧)の追跡に奮闘している。
彼等が監視しているのは太平洋側西経140度から大西洋側西経35度までの範囲内だが、太平洋側のトロピカルストームの追跡はハワイの観測所が主に任されているため、ここマイアミオフィスは特にカリブ海、メキシコ湾のストームの予報と追跡に重点を置かれている。
マイアミにセンターが設けられたのは、アメリカ南東エリアがどこよりもハリケーンの接近が多いことからであった。
現在コンピューターネットワークのすべてがここに集められ、市や彼等の顧客でもある客船会社などに必要とする情報を提供できるよう、またメディアやプレスとの常にスムーズなコミュニケーションがはかれるよう努められている。
かつて米陸軍と海軍はそれぞれが独自の設備によってハリケーンを追跡していた。
70年に入ると政府は今後はひとつのエージェントのみがハリケーン追跡の責務につくべきだという回答を下し、このハリケーンセンターは設立された。
そしてつい7年前の1992年、マイアミエリアを大型ハリケーン「アンドリュー」が襲い大規模な被害を被ったことを契機に、ハリケーンセンターはより精度の高い機器を備えたセンターに生まれ変わった。
彼等の役割とは、客船会社を含め民間の客、そして特に海上に関わる人々のため天候についてのアドバイスを提供し、危険な状況からの回避に努めることだ。
特に海に従事する彼らの命をも奪うストームの追跡は見逃せないのだと氏は言う。
ストームは通常西経10度から30度(アフリカ大陸西部から大西洋、カリブ海沿岸)の熱帯性の海上で発生しやすく、温められた海水や高温で抑えられた湿度などストームを発生させるのに最適な条件がそこにはある。
といっても、ストームが発生しやすい条件は必ずしも熱帯性の気候を備えていることがすべてではないのだそうだ。
例えば、メキシコ湾や北大西洋のように冷たい空気が南下することによっても稀にストームが発生することもあると言う。
ストームはやがて成長し、より警戒を要するとハリケーンと変化する。
ストームとハリケーンの違いは一言で言えば、1時間当たりの風の速さを単位(風速)とし(ちなみに日本では秒速で表している)風速が75マイルより遅い場合をストーム、それ以上に達した時をハリケーンと呼ぶのだそうだ。
ハリケーンシーズンは通常6月から11月まで。最近特に大きな被害をもたらしたハリケーンの名を挙げると、昨年中米を中心に約9000人もの尊い命を奪った大惨事ともなった「ミッチ」の名が挙げられる。
このハリケーンの特徴は風力こそ弱いものの、短時間で大量の雨を降らせたため、洪水を招き被害を一層拡大させた。
また、「ジョージ」(1997年)はドミニカ共和国とキーウエスト、メキシコ湾に多大なダメージを与えた。
そしてマイアミで勢力を拡大し何百万もの家屋を破壊した「アンドリュー」(1992年8月)の名も忘れることはできない。
彼等が確認した中でストーム(ハリケーンも含む)の年間発生率は平均すると大体10件前後。ただし過去の記録を辿ってみると1933年のように33件のストームが訪れた年もあったのだそうだ。
しかし、それ以降現在まで発生率は先の通りずっと変わっていない。
ちなみにハリケーンにアルファ、ブラボー、チャーリーなどアルファベット順に名が設けられたのは第二次世界大戦以降で、それまでは軍関係の名称が付けられていた。そして1950年代には、それがすべて女性の名前に改めたのだが、70年代に入ると婦人解放運動が活発になるに従いそれに対し非難の声が高まり、両者を交互に使用するようになったそうだ。
彼等はハリケーンの名について6年分のリストを持っているが、悲劇的な惨事を招いたものについては以降除外し、新たな名を加え6年ごとに繰り返しそれらの名を使用していると言う。
ちなみに大西洋諸国ではストームの名は国際連合に属する世界気象学協会の4つの地区のメンバーによって決定されており、名前はそれぞれ異なった国の民族の名などがミックスされバラエティーに富んだものが付けられているとのことだ。
近年ストーム(ハリケーンを含む)予報において、その精度はめざましい発展を遂げた。コンピューターの登場は複雑な天候の全体像を捉えかなり先までのことも予報することが可能になったと言う。
例えばほんの数年前までは予報というのはその時の天候を調べ、経験によって今後及ぼすであろう状況の予想を立てたものであった。
それが現在ではコンピューターによって解析されあらゆる状況をも想定できるほどになったのだそうだ。彼等が「ヌメリカル・ウェザーリポート」と呼んでいるシステムはコンピューターが表す3次元映像によって海上とその場の状況の両方が報告され、細部に渡り把握できるようになった。
コンピューターにあらかじめインプットされた運動方程式によって時間ごとに今後起こるであろう予想をはじき出すことができるのだと言う。
彼等は144時間後の天候の予想をも可能とし10日先のことも予測も可能とした。
その他コンピューター同様めざましい進歩を遂げているのが「サテライトテクノロジー」(衛星技術)だ。
それは人類がかつて見ることができぬ映像を地上に刻々と送ってくる。
衛星技術の役割は例えば22マイル上空を映像によって見ることができ、30分間隔で雲の形成や風の動きを調べることができることだと言う。
このようにテクノロジーの進歩は日々向上しているものの、すべての処理がオートメーション化したわけではない。
「最終的な回答は依然人間の経験に基づきなされているからなのです。」と氏。
将来において我々が必要とするテクノロジーとは、サテライトからの写真をより精度の高い予報を得るためコンピューターモデルにインプットさせ、常時必要とする情報を引き出せるようにすることなのだそうだ。
そのため現在起こったデータをモデルケースとし、より多くの情報を入力させるため地表観測や航空機からのレポート、サテライトからの情報に大いなる期待をかけているところなのだそうだ。
天候は航空機や船舶に大きな危険を及ぼす。もちろん、気象技術の向上は目まぐるしいものがあるが、それでも危険から彼らを完全に回避させることはできない
。「船舶にとって安全な航海とはより天候について理解し、必要な限り情報を得ること。」彼等は船舶などに海上においての天気予報を記述したものの発行も行っているが、客船会社によっては彼ら自身独自の予報会社(民間)によって、もしハリケーンクラスの天候に見舞われた時、どのようなルートをとれば最善であるか十分な情報を得ていると言う。
例えば、カリブ海クルーズに就く客船の殆どは、かつて悪天候に遭遇した時嵐を避けるため安全な港を目指し、通常8時間以上も嵐に逆らって進まなければならなかった。
このことは他の船舶にとってはたいした問題ではないが、客船側が常に神経を使うのはこの荒れた海域での乗客のコンディションだ(そんな体験をしたら乗客によっては二度と客船に乗らなくなる)。
客船会社の多くは彼らの情報をフルに活用し、あらかじめストームから離れたルートをとるように努めている。
「危険から回避するため今後いかにコミュニケーションがなされるかがキーともなるのです。警告が届かないとしたならば、それは時に悲劇に結びつくこともあるのです。」と氏。


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