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GE
ゼネラル・エレクトリック社(GE)と言えばその名を知らぬ者がいないほどアメリカでは有名な大企業である。彼等が扱う商品は家電製品から生命保険、医療機器さらには航空機エンジンなど多種多様である。特に航空機用エンジン(ボーイング社が主な顧客)に関しては出力1万キロワットクラスのパワーシステム(ガスタービン)の分野では世界市場の半数近くを彼等が占めている。GE社のそんな航空機産業で培った技術が今客船産業に新たな可能性をもたらそうとしていた。
“LM2500”とはGE社が客船のために開発したガスタービン型エンジンである。実際航空機のジェットエンジン用として使用していたものを船舶用に改良したものだ。客船に搭載され実用化されたのは2000年にデビューを果たした新造船ミレニアムであった。「業界関係者も含め多くの方々がそれを“クリーンシップ”として温かく迎えてくれました。」とセールスエンジニアマネージャーのジャナ・タメス氏は語る。 最初にディーゼルエンジンとガスタービンエンジンシステムについて少し説明しよう。 「ディーゼルエンジンシステム」とは現在の客船達の主流となるエンジンシステムである。ディーゼルエンジンによって作られた動力は長い軸を通して船尾のスクリューを回転させる。一方「ガスタービンエンジンシステム」の方は“ガスタービン(今回の場合LM2500)”“ゼネレーター(発電機)”“ポッド(スクリューを持つ独立したモーター)”が基本的なひとつのセットとなったものと考えてもらいたい。ガスタービンによってもたらされた動力はゼネレーターによって電気エネルギーに変換された後、スクリューを備えたモーターへ伝わるのである。簡単に言ってしまえば両者をガソリン自動車と電気自動車に置き換えてみればわかりやすい。 客船のエンジンシステムが従来のディーゼルからガスタービンへと移行することへのメリットは多大だ。まず乗客側から見ると“ディーゼルエンジン”がピストン運動(上下運動など)により動力を得ているのに対し、“ガスタービンシステム”は回転運動でそれを得るため航海時の船内の振動が大幅に軽減された。また燃料が重油から「クリーンエネルギー」と呼ばれるマリン燃料へと切り替わったことでファンネル(煙突)から出る煙が大幅にカットされ、オープンデッキで塵を浴びることもない。
一方客船オーナー側から見たガスタービンへと変更するメリットのひとつはそれによって生まれるパワーである。例えば15.5フィートのガスタービンユニット1基でディーゼル機器4基分(25メガワット)という大変なパワーを生み出すことができると言う。その結果、軽量でコンパクトとなったシステムにより、思わぬスペースが生まれ、例えば10万トンクラスの客船であれば約50室ものステートルームの他、また廃棄処理スペースも増設することができる。 また環境を破壊する有害な排気(窒素酸化物など)の軽減も客船会社にとっては大きい。ガスタービンはIMO(International Maritime Organaization)スタンダードの規定値を十分クリアーするもので客船会社はこれによりアラスカ、バルト海のような排ガスに特に厳しい規
制を持つエリアへも安心して客船を投入することが可能となったのだ。燃料は重油に比べマリン燃料の方が高額なので客船会社にとってはその負担はけして少ないものではない。「しかしこれは各国政府が海上での酸化イオン放出抑制を強く求めていることに対し客船会社が下した結論なのです。」と氏。過去に何船もの客船が寄港エリアでの基準値を満たすことが出来ず、客船会社は多大な罰金を払わされるという経緯があったのだから、ガスタービンの登場はまさに客船会社にとっては朗報である。 「近い将来にはノルウェー、カリフォルニア、マイアミ沿岸も環境規制が厳しくなるものと予想されているのです。」と氏。言い換えるならば今まで主流であったディーゼルエンジンは今後非常に厳しい状況に置かれることが予想されるのである。また近年、市場に登場する新造船の多くがバルクヘッドへのトランスシャフティング(車に例えると車体前方のエンジンから後輪に動力を伝えるシャフト)を必要としないポッド(推進システム、それ自体がモーターでありまた方向転換の役目を果たす機器)を採用し始めている。
それらは電気エネルギーでポッドのスクリューを回転させることで客船に動力を供給するのだが、造船所側もそれらとガスタービン組み合わせたものを好む傾向にあるのだそうだ。
GE社は現在ローヤル・カリビアン社と10船の契約を結ぶことが決定しており、またフランスのアトランティック造船所と日本の三菱重工にてプリンセス社の客船2船ずつが造船中の「グランドプリンセスクラス」にはガスタービンシステムとディーゼルエンジンが搭載された初の客船になる予定である。
そしてイタリアのフィンカティエ造船所にて造船中のホーランドアメリカ社の5船も同様に、両システムが搭載されることとなっている。
さらに今注目されているクイーンメリーは2基のガスタービンと4基のディーゼルエンジンを備えた客船になると言う。 客船の多くがガスタービンとディーゼルエンジンをコンビネーションで採用する理由は、依然ガスタービンの価格と燃料費が高価なためだからだ。
そのため通常の航海はディーゼルを使用し、ガスタービンは主に夜間や規制の厳しいエリア、また客船がハイスピードで航海する時(特にスピードが上がった時ノイズ削減が顕著であるため)などで使用することが多いのだそうだ。
現在ガスタービンを搭載している客船またはプロジェクトが進んでいる客船を数えると、2005年までに合計33船の客船が市場に投入される予定となっている。
GE社が客船業界に参入しまだ日は浅い。
しかし彼等のガスタービン(今回のシステムとは異なったもの)が搭載海軍船舶は既に約140隻にものぼりすでに高い信頼を得ていたのであった。
GE社がこの産業に初めて参入した1997年は客船業界はまさにディーゼルエンジン製造者達の独壇場であった。
当時業界には「クリーナーオプション」(環境にやさしい・・・)が叫ばれ始め、ディーゼルエンジン開発者達はより優秀なクリーナー製品を目指し開発にのぞんでいたと言う。
現在、市場には煙の排出を抑えたディーゼル製品(GE社最大のライバルでもあるワルシラ社が開発)も登場するようになったが、近い将来、ほとんどの客船会社はガスタービンとディーゼルエンジンの両方を複合させたシステムを導入していくことになるだろう。とジャナ・タメ
氏は語る。
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