NUANSE of cruise-ok



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1999.2


巨大化が進む客船の中を探索しているといつの間にかまるで街中のショッピングアーケードにでも迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ることがある 。
冷やかし気分で店内の覗いてみれば時には他ではとても手に入れることのできぬユニークな商品や旅のお土産に、と思うものも少なくない。
船上にいるとショッピングはけして女性達の専売特許ではないことがわかる・・・。 そんな船内へ魅力的な商品の仕入れやまた店舗を一手に任されているのがヌアンセ社である。
ヌアンセ社が最初に客船と関わりを持ったのは1917年からイギリス、北アメリカ間の定期航路を持つ客船内で理髪店を開いたところからであった。
当時客船会社にとっての悩みは、船が常に港間の移動であるため船内で乗客が必要とする商品をわざわざ自身で購入にいかねばならぬことであった。
そんなことから理髪店を営むオーナーが彼らに代わり乗客のために商品を少しずつ揃え始めたことから客船と大きく関わることとなる。
当初は理髪関連の商品が主であったが薬なども扱うようになり、やがてキオスクタイプでいろいろな商品を扱い始めるようになっていった。
そして40年代に入ると客船が豪華さを競うように変化して行くのに伴い、高級品の数も多くなり始める。
そして客船側も自身で船内に店舗を置き始めると共に彼らも自社の店舗を出すようになった。
彼らの客船へのビジネスが本格的に始まったのはイギリスの客船からであった。その中にはあの悲劇の客船タイタニック号も含まれていたと言う
。現在、ホーランドアメリカ社の客船をはじめP&O、ウインドスター、ノルウェージャン、その他最高級の客船ではキュナードNaunse-1.jpg、シルバーシー、シーボンなど約30隻あまりの客船内に彼らの店を見ることができる。
最初の彼らの会社の社名は「オーシャン・トレーディング」という名であった。その後92年には「アレン」という名に改名し、そして3年後の95年、現在の社名でもある「ヌアンセ・グローバル・トレーダース」と改められた。
現在「ヌアンセ社」の100%はスイス航空がオーナー権を握っているのだそうだ。ちなみに“ヌアンセ”とはフランス語で英語に直すと”スモール・リトル・デイファレンス”(小さく、少し異なる)といった意味だとのこと。
彼らの船内での主な役割とは契約に基づいて船内へ商品を供給することとそれらを販売することである。
と一言で言っても扱う商品や価格など客船会社によって大きく異なるのだそうだ。いかにそれぞれの客船の客層に適した商品を供給することができるかが彼らの腕の見せ所であり、経験と規模の大きさがそれを可能とさせているのであった
。 ヌアンセ社がビジネスを展開するのはなにも客船だけではない
。実は彼らのメイン業務となるのは誰もが旅で目にする空港内のデューティショップだ。ヌアンス社はデューティショップの会社としては世界で2番目の規模を誇り、アジアやオセアニアエリアでは香港国際空港の他、ニューカレドニア、オーストラリア、ニュージーランドなどに。またヨーロッパ諸国ではイギリス、スイス、ポルトガルなどの他、アメリカ、カナダ空港やカリブ海のグランドケイマンなどの空港内にも彼らビジネスは展開されているのだそうだ。
また、その他にはスイス航空やオーストラリア航空などの機内にも商品を供給していると言う。
昨年度の客船のみで総売り上げは約8千万ドル。NA02.jpg
しかし、世界全域にある220店舗のデューティショップすべての売り上げを合計すると約15億ドルという巨大なビジネスを展開するというスケールの大きな会社である。
再び客船の話に戻るが、 現在のクルーズ産業を眺め、その内の約80%は南フロリダをベースにし、また約70%が北アメリカ(主にアメリカ・カナダ人)からの乗客であり、そしてアラスカ、カリブ海へ訪れる客船の60~70%の出港地はアメリカであるということから彼らのメインオフィスはフロリダのフォートローダデールに置かれている。客船内に主に卸される商品は、宝石、寄港地関連ものから客船などのロゴがあしらわれたお土産品などの他、香水やお酒、タバコなど種類や数も多数取り揃えられていると言う。彼らにとって“国籍、年齢、年収が異なった客”また“NCLやシーボンといった全くタイプの異なった客”に対しても、そして“寄港地がアラスカ、カリブ海”であったとしてもそれら客に適応した商品を供給することができるという自負を持っていると言う。言いかえるならば、この3点をよく理解できたところのビジネスのカギがあると言ってもよいとヌアンセ・チーフグゼクティブのロルフ・ドデリー氏は語る。
各国の客が何に強く関心を持たれているのかメインビジネスからのリサーチによって分析されているのだそうだ。
そしてそのことで客船の店舗は客がクルーズ中、しばしば訪れる船内で最も魅力的な場所のひとつとなると言う。
ところで、店舗の配置とデザインも商品を販売するうえで大切なことなのだそうだ。
例えばGE2など大西洋の荒れる海域などを頻繁に航海する客船はよく揺れることも多く、商品の破損を招くことがある。
基本的には各客船会社によって船内の配置は決められているのだが、それらは客の流れやそれぞれの客船のコンセプトによって決定されているのだそうだ。
また、実際インテリアデザインなど時には彼らが担当することがあるのだが、最終的には客船会社の判断に委ねられていると言う。
船内で働くスタッフ達は彼らが所有する陸上の店舗スタッフから募られている。
彼らは客との強い信頼関係を築くことができるように特別なトレーニングを受け、まず乗船前に新しい職場へのセールストレーニングが一週間、その後、船上で3ヵ月、一年ごとに再び異なったトレーニングを受けることになっているのだそうだ。
スタッフの約60%はヨーロッパ人で残りの約40%は北アメリカ人で構成され、現在客船内に約300人のスタッフが従事している。
空港内スタッフを含めると約5500人のスタッフが彼等の会社で働いているとのこと。
クルーズ担当のスタッフを採用するためにあたってはセールス経験が豊富で商品に対して良く理解し販売できる人間が選ばれ、そして彼等のカラーに合うように教育が施されている。彼等の宝石販売アシスタントは例えば陸上ですでに宝石販売についての高い教育を受けたものたちだ。
また、香水部門にはその道のスペシャリストが担当している
。彼等は将来のサービスに革新的とも言える幾つもの青写真を描いている。
その一つは“プレ・クルーズ”“ポストクルーズ”サービスというもので、メール・オーダーシステムで乗客が客船する前にほしいものをオーダーできる機会を持つことができたり、または乗船後にお客様は“アルミナ”という我々のカタログや雑誌にて商品のオーダーができるというものだと言う。
日本へのマーケットの進出も将来的には関心を持っているのだそうだ。「日本が現在の状況を乗り越えクルーズマーケットが拡大した時、クルーズ産業もより日本へのマーケットに目を向けることでしょう。
“ファースト・クラス・マーチャンダイズ”(第一級の商品の品揃え)の”ヌアンセ”が皆様のお越しをお待ちしております。」