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1999.6
PPIグループのプレジデント、ビル・パノフ氏にあったのはマイアミにある彼の新オフィスであった。彼はつい最近日本の経済新聞のインタビューを受けたばかりであったと言う。そんなことからか、多忙にもかかわらず我々に会うことを快諾してくれた。
オフィスの中やスタッフ達の紹介の後いよいよインタビューに移ろうとする時、彼は手の中から会社のロゴが入った小さな客船のおもちゃを出し驚く我々にそれを差し出したのであった。
たしかクルーズディレクターの経歴を持つとは聞いていたが実は彼はマジックもこなすのだと話してくれた。なんともサービス精神に富んだ気さくな青年というのが彼の最初の印象であった。
“PPIグループ”のコンセプトは、成長を続けるクルーズ産業の中でマーケットが必要とするものを形にし、それを専門的なサービスとして我々に提供していくことだと彼は言う。
「“クルーズ・マーケット・コネクション”それが我々“PPIグループ”(以降PPI)が将来にわたって目指しているものなのです。」と氏。
現在PPIが手掛けているのは「オンボード・マガジン」「イノギュラル(デビューしたての客船)マガジン」「ポート・ホール・マガジン」「ショッピング・レクチャープログラム」そして「アート・オークション」などだ。
乗船したとき室内に置かれた「オンボード・マガジン」を目にしたことのある方は多いと思う。内容は客船業界についてのことからその客船がデビューに至までのエピソードも含めた事柄が紹介されたもので、業界内部の専門的なことなど全体的にとても興味深い内容で構成されている。
「業界の中でもクルーズ産業のことを熟知し ているトップクラスのプロフェッショナルチームを抱えていることが我が社の誇りなどです。」と彼は語る。
そう言えば「ポート・ホール・マガジン」では一時あのダグラス・ワード氏もペンを振るっていたことを覚えている。
“PPIグループ”が設立以前、彼は70年代半ばよりカーニバル・クルーズラインのクルーズディレクターとして10年以上にわたりクルーズ業界に携わっていた。
もともの彼には企業家精神があったと言う。
やがて客船での生活は彼に客船を通じたビジネスへの関心を抱かせることになる。彼が最初に強く興味を示したのはカリブ海のお店のほとんどが船の客に依存しているということであった。
彼らは広告、宣伝と称して来店の客に商品を廉価な価格で提供していたからだ。
1989年“パノフ・パブリッシングinc”は彼と妻エレナの2人によって設立されスタートした。
最初に彼等が行ったことは非常にシンプルなことであった。島々のお店やアトラクション(現地ツアー)の割安クーポンがぎ っしり詰まった小冊子を質は落ちるものの粗い紙にプリントしことであった。
そしてその時の広告収入はいくらか収益を彼等にもたらすことになる。ちなみに広告収入は今日においても彼等の会社のメイン収益であるのだそうだ。
その後、彼等は新造船についてのサービスや設備などの記事を掲載させた経営者向けの「ポート・ホール」という業界紙を発行した。
意外であったのがその雑誌はいつのまにかクルーズ愛好家も好んで目にしていた。そこで彼等は大きく編集の見直しを図る一方、ワーナー社(現タイム・ワーナー)との契約によって大手書店や空港そしてアメリカのみでなくイギリス国内での流通も確保し、誰もが手に取って購入することのできるトラベラー向けの雑誌として販売する。
ちょうどその頃、社名もパノフ・パブリッシングincから現在の“ザ・PPIグループ社”へと変更された。現在彼等の会社の信頼できるスタッフ達はフロリダに25名、ロンドンに6名、そして客船内に26名が従事している。彼らは旅行やクルーズに関しての何らかの経験を備えている有能な者達だ。
とは言うものの彼等が誇りとしているのは会社の規模の大きさや、他社に比べ能率良く仕事がこなせるかということではない。クライアント(仕事の依頼人)が求めている質の高い情報であった。
業界のトップを目指していることは彼等会社の信念であると氏は熱く語る。
ところでこの新しく生まれた「ポート・ホール」マガジンは現在話題の客船や寄港地、クルーズプロダクツの紹介など、常にホットで上質な内容の記事・写真で構成されており多くのクルーズファンや初心者の方々にも読みやすい雑誌である。
彼等はこの雑誌の読者の意見をまとめ、近い将来には読者による各客船の評価など(現在発行されているのはベルリッツやコンデイネストトラベラーのように質や人気などを選ぶ)もレポートしていく予定だと言う。
また、つい最近“PPIグループ社”はTVにも進出しシリーズとしてこの「ポートホール」をトラベル・ケーブル・チャンネルで放映することとなった。例えばその月の雑誌「ポートホール」でスポットが当てた客船を番組でも紹介し、お茶の間を通し船旅の魅力をより広げるといったもので、いわば「ポート・ホール」のTV版といったところである。
また彼等は社名のPPI(ポート・プロモーション・インターナショナル)の名が示すように彼等のサービス内容はメディアばかりに留まらず、乗船アシスタントとして寄港地、ショアーエクスカッションの紹介や、アートオークションといったプログラムの提供も積極的に展開している。 船内に配布している「オンボード・マガジン」は現在カーニバル、ノルウェージャンクルーズ、 P&O、ラディソンセブンシーズ、プレミア、コスタなどで目にすることができ、今年よりシンガポールを起点とするオリエントライン船内にも配布されるようになるとのこと。
また他には業界のトップ経営についてスポットを当てた「クルーズ・エグゼクティブ・イヤーブック」など業界の中で働く人間をターゲットとし興味深い内容でまとめられた書籍も新たに出版された。 ビル・パノフ氏のマジックはまだまだ続く。
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