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クルーズバケーション 
 2007年10月         

(インタービューに答えてくださったのはクルーズバケーション代表取締役の木島栄子さん)


クルーズバケーションはGSAとしては日本では数少ない客船のみを扱う代理店である。設立されたのは1992年。現代表取締役でもある木島榮子さんが総支配人として迎えられスタートした時は“アメリカンハワイクルーズ”“プリンセスクルーズ”の2つの客船会社のGSAであったものの、今や“プリンセスクルーズ”、“P&Oクルーズ”、“キュナードライン”、“リージェント・セブンシーズクルーズ”、”ハパグロイド“の5つのメジャーな客船会社を扱う代理店となった。 意外なことにそれぞれのGSA契約の話のその多くは向こうから突然舞い込んで来たものなのだそうだ。   
IMG12642.jpg写真をクリックすると拡大することができます。     QE2 (セント・トーマス島にて)例えば“P&O クルーズの場合はサッチャー政権時代、イギリス経済の低迷から、リストラによって代理店スワイヤの日本からの撤退に伴い、彼らが扱っていた“P & Oクルーズ”が当時“プリンセスクルーズ”の親会社であったことから”プリンセス・クルーズ”の総代理店社でもあるクルーズバケーションがGSAを引き受けることになった。 また川崎汽船は「ラディソンセブンシーズクルーズ」(現リージェント・セブンシーズクルーズ)から手を引くため日本でGSAをやってくれるところを探していた。そして面接の末やはりこれもクルーズバケーションが引き受けることに。 さらにキュナードにおいては“プリンセス・クルーズ”の親会社の関係で彼らのところにやって来たようだ。 キュナードは当時キュナードオーストラリアが東南アジア地域を管轄販売していたがこれはあまりうまくいっていなかった。すでにキュナードはカーニバルコーポレーションの傘下にあったが、プリンセス、P&Oを担当するイギリス人のCEOがキュナードも担当することになり、キュナードの販売代理店を全て“プリンセスクルーズ”と同じにしたので、2004年にクルーズバケーションに話がまわってきたのであった。実際に販売がスタートしたのは翌2005年のことであった。

 QE2の引退や新造船などキュナードは何かと日本人のキュナードファンたちにも注目されていると思いますが?  


おかげさまでフェアウェルなどもあってか現在までにキュナード全体で来年の予約は700~800人入っているところです。この勢いをみて本社からは「これなら2000人ぐらいは売れるのでは。」と言われましたが、でもさすがにそこまで届かないと思いますが・・・。私たちも期待はしているところです。 今年QE2が来年のクルーズを最後に引退と言ったニュースが流れ、2008年のワールドクルーズもわっと増えました。2008年は『QE2イヤー』にしようと考えております。また来年はかなりQE2を商品化する旅行会社も増え楽しみにしているところです。 またQM2(クイーンメリー2)は2009年に日本に寄港することになっていますし、QV(クイーンビクトリア)も日本に寄港するということで相乗効果的にキュナードを販売して行こうと考えております。QM2は横浜との連動でうまく行きそうです。QVに関してはシドニー・シンガポール間の21日間のコースを半分に割って長崎乗下船が出来るようにしていこうと考えています。また2010年に新たな”クイーン・エリザベス“号が誕生するとの発表があったばかりです。 

 キュナードの客船を販売する上での難しさは? 


“QE2”は日本で一番有名な外国客船ですので誰でも一度は乗船してみたいと思われているようで、問題はないのですが、QM2は15万トンと船が大きすぎて日本のキュナードファンにとってはあまり人気がありません。また年間を通じて殆どが6日間の大西洋横断クルーズに就航しているので、コース的に日本人にはなじみが無く販売しにくいところです。英国の伝統ある客船会社の船ということで、少し硬い感じ、かしこまった感じがあることと、やはりラグジュアリークラスなのでクルーズ料金が高いというのもあるかもしれません。 

 それでは一般の日本人の方々が持っているクルーズ全体のイメージは?


昔から「豪華」、「高い」、「世界一周クルーズばかりのためか長い」、「服装などでかしこまって居心地が悪い」、「退屈」などと言った言葉をよく耳にします。 新聞やTVといった“メディア”がニュースに載せるために船のことを紹介する場合には“豪華客船”と言ったタイトルをつけてしまう。それもその原因にあると思います。それは10年、20年たった今もそう変わっていないようです。本当に船のことをわかっている方々にはわかって頂いていると思うのですが、全国的にはまだまだひろがっていないようです。 “豪華客船”といった船に対する憧れはあってもいいのですが、船もホテルと同じようにランクがあり、非常にバラエクイーン・メリー 2022.jpg写真をクリックすると拡大表示することができます。 QM2 (セント・トーマス島にて)ティーに富んでいるということが十分に理解されていないので、「相変わらず高い」、そして「長い」、でも「実はクルーズは一泊一万円からスタートしています」と、「食事代、宿泊代、エンターテイメント代も全て入っているのですよ。」と毎回、毎回説明しても・・・。 でも何年か前プリンセスクルーズ(アメリカ側)の営業部長に「私はそんなことを10年やっていると」言ったら「私なんか25年以上続けているわ。それもまだやっているのよ」と言い返されてしまいました。アメリカでさえそうなのですからこれからも宣教師のように同じことを続けていくことが我々の仕事なのです。 とは言っても日本の場合、新しい物好きというものがあって、例えばサファイヤプリンセスやダイヤモンドプリンセスがマスコミにとりあげられてまた火事で皆が知った。そして不死鳥のように甦ったサクセスストーリーとなった。その船を横浜で見物し、でとにかく乗ってみたら「一泊2万円でこれだけ楽しいものがあるのか!!」飛行機代も全て入れて平均25万、26万、夫婦で50万ぐらいの金額で。あれがひとつの引き金になって2004年はグッとクルーズ人口が増えたんですよ。 それともうひとつの出来事は飛鳥2の昨年のデビュー。ここで飛鳥2やにっぽん丸が、がんばってくれて2006年のクルーズ人口は対前年比13%も上昇しました。業界では飛鳥2効果と言っています。
ここでQE20363.jpg写真をクリックすると拡大表示されます。 QE2料金も少し下げてもらえればよかったのだけど。また新しい客船でも造ってもらえればもっとクルーズが定着したのに!! 日本の客船3隻で皆同じことやって、また皆一緒に世界一周に出てしまったら・・・。もう一船でも中古船でも入れてやってもらえれば・・・・。 日本の客船会社のベンチャー精神がもう少し欲しいですね。

 団塊の世代の方々のことが昨年から急にとりあげられることが多くなったのですが?


定年退職したからといって彼らがすぐ船に乗ることは考えられません。まだ元気なうちは旅行に行くにしてもクルーズとは異なったものを選ぶのでは思います。65歳以上を過ぎてのことを考えれば彼らが動くのは2010年以降ではないかと・・・。 でも身近では他の旅行も含め、船旅を楽しむ方も増えているのを感じております。「料金的にはリーズナブルなものだし」、「体力的にも楽そうだし」「船に乗っていると危険度、例えば病院もついており安全である」などをわかって頂き、海外旅行へ出かけるときの選択肢として認知されて行くようになればすごく良いと思っております。クルーズが何ヶ月も行くようなものでなくて3日でも4日でも1週間もある。1週間や2週間が一番楽しめますよとわかってくればいいと思うんですよ。

 木島さんはたしかクルーズ旅行振興部会の会長も兼任なさっていらっしゃるということなのですがクルーズ旅行推進部会の役割とは?


JATA(日本旅行業協会)の中で「クルーズ旅行振興部会」を3年前に発足させました。クルーズ旅行をもっと促進させるためにクルーズの認知度を高めるための活動及び、弊害になっていることをひとつずつとり除くことを目的に活動しています。今年は、「早期予約の推進。」「早期に申し込みを行っても何がおこるかわからないから申し込めない。」とか、「年寄りだからそれまでに病気になってしまうかもしれない。」など、早く申し込んで取り消しがあった時でも取り消し料を心配しないですむように取り消し料保険の制度を充実しましょうよ。という運動をやっております。「早く予約させて」「そのかわり安心して万一のときには取り消せますよと。」この2つがうまくかみ合ってくればもうちょっと早い予約ができるのではと思います。 欧米の取り消し料基準は日本の“主催旅行約款”とまったく合致しません。日本だけです一ヶ月前に取り消して取り消し料が10%。3日前までに取り消しても30%しか取れないなんて。だから我々もクルーズには特別なクルーズ約款をつくってもらったのでもう少し充実させてGSAも旅行会社もお客様も安心して、クルーズを販売したり、参加したり出来るようにしたいと思っています。 今欧米の旅行会社から日本はかなり厳しく見られています。例えば部屋数がそれほど多くない一流のホテルの部屋をバーンと取っておいて、一ヶ月前にバーンとキャンセルしてネームチェンジ、ネームチェンジでもう信用できないと。予約金を払わない、そして支払いは後払い。日本人の商業意識をもう少しインターナショナルにしないといけない。 我々としてはクルーズだけでもまずそれをやろうと。クルーズをやって全体的に旅行がうまくいっていけばよいと。消費者保護団体からそんなもの早くから取り消し料とって、お客様のことを考えていないと。そうではないでしょう。早くから予約していれば自分がいいものを取れるんですよ。最後の残りかすだけで日本人はいいなんてことないでしょと。そのためには早く予約を取りましょう。心配だからちゃんと取り消し保険でカバーしましょう。セーフティネットも作りましょう。そして安心して出発日がくるまで楽しく待ちましょう。

 クルーズアドバイザー制度についてお聞かせください。


これは旅行会社の人たちがクルーズについてあまりにも知らなすぎると言うことで、販売する人たちがもっと専門知識を持っていた方が売れるだろうといったことから生まれた制度です。アメリカのCLIAと言うクルーズ関係の団体が作っている制度があり日本もそれを取り入れようといったことから2003年にスタートしました。それがインセンチブ(刺激)になり、売る人間は資格(“クルーズ・コンサルタント”)を取り自信を持ってカウンターでお客様がきたらおまかせくださいとなってくる。売る方も自信を持って売れるし、お客様もこの人だったら何でも教えてくれるからそのお店に行って買いましょうと。実際そんな相乗効果も出ているようです。そして2003年の発足時にクルーズ業界で長く活躍された方を“クルーズマスター”として11人選びました。でも年長者であったり、定年退職などで11人のマスター資格保持者の内、現役で業界で活躍している方は今はその半分ぐらいしかおりません。 “クルーズ・コンサルタント”のほうがより実質的で現在約1000人いるコンサルタントが各旅行会社の店舗にて実際販売に携わっております。 前から言っているのですがクルーズはある程度専門的知識が必要で、専門職、専門店としてやっていかないとうまく行きませんよと。実際専門の所はきっちりと実績をあげております。クルーズアドバイザー制度は定着してきましたよ。他でも山の関係の旅行なども専門の資格制度を作ろうと同様なことを言っていますが、今のところ成功しているのはクルーズだけです。 

 クルーズバケーションの扱っている客船たちは? 


“プリンセスクルーズ”、“P&O”、“キュナードライン”、“リージェント・セブンシーズクルーズ”の4社にハパクロイド、ディスカバリークルーズも加わり6つの客船会社を扱っております。

 ハパクロイド社 


ドイツの日本郵船のようなもので160年余の歴史のある会社なのですが日本ではブレメーメン、ハンセアティックといった探検船での南極、北極クルーズを販売しています。やはり、ドイツの探検船は非常にしっかりしたオペレーションで安心した販売ができます。オイローパは客船評価で著名なベルリッツ誌で、唯一就航以来6スターにランクされている超高級客船で、ヨーロッパクルーズを中心に運航しています。日本ではまだ殆ど知名度がないので、これからもっと紹介していきたいと思います。


 プリンセスクルーズ社 

カテゴリーから言ったらプレミアマーケット(高級層)。客層を中の上を狙っているためショートクルーズがないんですよ。最低が七日間。ということはある程度の経済的にも知的にも水準が上でないと。客層をそこに置いているので日本人にとって一番居心地がよい船です。変にカジュアルでもないし、伝統的な堅くるしさもない。船内を見てもわかると思いますが大人の洗練された船です。
サファイヤ・プリンセス 034.jpg写真をクリックすると拡大表示 することができます。 サファイヤ・プリンセス(シアトルにて)

 リージェントセブンシーズクルーズ社


去年(2006年)から名を変えたのですが中型の高級船。オールインクルーシーブで、チップや飲み物代も含め全て入っている。これこそラグジュアリー。1対2のサービス、リピーター向けのコースに長いコースを持っているのが特徴です。ライバルに近いのがシルバーシーズでしょか・・。シルバーシーよりも船が一回り大きいので、豪華客船なんだけど明るくまた変に敷居が高くない。ディストネーションへのこだわりはあります。夏は地中海、それと北欧、リピーター率は7割近いとのことです。平均年齢層50代、DINKSタイプ
、そして若くてお金がある。IT産業で働くようなタイプ。知的好奇心が高い。もしかしたら日本にはないタイプのマーケットかもしれない。
サービス的にはオールインクルージブはもちろんアメニティ、ベットシーツなどリネン類に上質の物を使用しています。例えばマリナーは船内を変えたのですがウッドを多用してウッディな居心地の良さが増したり、オレンジジュースは全部しぼり立てであったり、こだわりがあるのだけど変に気取っていない。これがいいんですよ。リピーターが多いので、ヨーロッパクルーズでも毎年新しい寄港地を組み入れたり、長いクルーズ、ワールドクルーズやグランドクルーズなどがあるのも彼らの特徴です。 日本人にも良く知られた客船ポールゴーギャンのタヒチクルーズも人気です。DSCF3240.jpg年齢の高いカップル、例えばハネムーンナーでも30代のハネムーンナーとかに人気です。クルーズバケーションとしてもポールゴーギャンは日本人向けのクルーズ船として力を入れています。土曜、土曜のスケジュールでまた日本からのアクセスもよい、若いハネムーナ、カップルといった方々には最適なクルーズです。タヒチとポールゴーギャンといった名前の結びつきもよく南太平洋クルーズは今ではすでに定着したものとなっています。セブンシーズ・ボイジャーはヨーロッパ中心ですね。これはリピーターも多いです。特にこの会社はリピーター客を大切にしますしすごくいい客船ですよ。来年は日本に寄港します。


 P&Oクルーズ社 


カーニバルになってからは積極的に販売はしておりません。現在はオリアナとオーラオ。日本に寄港することがあれば販売していますが昔ほどは販売しておりません。やはりイギリスの客船なので日本人にとってはもうひとつ馴染みが浅く抵抗感があるのかもしれないですね。それと予約が早いので、彼らは日本のマーケットまでお金を出して売ってもらうというつもりもないようです。ワールドクルーズでお客様がいればやってくれますけど、以前のようにインターナショナルなマーケットにそれほど熱心ではなくなってきています。

 キュナードライン社 


QE2に代表される客船会社で、QE2は後一年がんばって売って行くのですが、伝統的なオーションライナーというそういうものを持っているのはキュナードしかないのでそこを中心に英国の客船として販売して行きます。 キュナードはしかもラグジュアリーのカテゴリーに入りますので、また日本人としては新しく出る船QV(クリーンビクトリア)も9万トンという大きさで居心地がいいのではないんでしょうか。 実は15万トンのQM2は日本人にとってはあってないような思いが強いんです。今までトランスアトランティック大西洋横断クルーズ(英国~アメリカ)だけしかやってないことも日本人にとっては乗りにくい。それとQM2の乗客の7割はイギリス人ですから。QVはQE2を受け継いでもう少し近代的にしたイメージがあります。QM2とはまた違ったこだわりをキュナードはQVに託しているのです。DEG_4107.jpg写真をクリックすると拡大表示をすることができる。 QV (ノルウェー ガイランゲルにて) QV (
QVがデビューするまでにこんなストーリーがありました。 カーニバルの会長ミッキー・アリソン氏がQM2を造って、次にQVを造るとオーダーしたのですがイギリス人のCEOになった人がこれを気に入らないとやめさせてP&0に売って“ベンチューラ”にしてしまいました。そしてこれぞキュナードの伝統を受け継ぐ客船として新たに発注したのが12月にデビューするQVです。一からやり直したのですから、それだけ気合の入れ方が違う船です。船内のパブリックエリアも英国の伝統をうまくコンテンポラリー(現代的)な形にして完成させております。 今年の12月11日にデビューしますが、QVが出来ると発表された3年前から予約された方が殆どです。